中国大陸や朝鮮半島から発酵の技術を教わっていた日本人ですが、実は、糀菌だけは日本オリジナルです。
そもそも糀菌は東から東南アジアにしかいません。糀発酵物は、アジアだけの食文化なんですよ。
日本以外の国では、穀物の粉を水で練ってお餅の形にして、部屋に住みついている糀菌の力で発酵させます。この糀菌は「クモノスカビ」といい、タンパク質を分解する力があまりありません。
穀物も、米よりも麦やコウリャンなどの雑穀が使われます。
日本では、バラ糀(散麹型)を使い、米や大豆、麦をそのまま蒸して、糀をまぶします。バラ糀は、タンパク質の分解力が強いのです。
なぜ、日本にだけバラ糀が定着したのでしょう。
それは稲作と米食に関係があります。
稲穂には、稲糀菌が着くことがあります。バラ糀の一つで小さな黒い粒です。 稲糀菌を種にして、酒や糀を造ったこともあったようです。
また、日本で糀は蒸した米から発見されているように、最初から蒸した穀物で発酵させていました。
穀物を蒸すとタンパク質の一部が変性しますから、分解力の弱いクモノスカビより、バラ糀が元気に発酵していったのです。
自然の中に糀菌がいっぱいあったことも、バラ糀を優先させました。
日本人が米を育て、蒸した米を食べていたことが、日本だけにバラ糀菌ができた理由です。
中国大陸や朝鮮半島の影響を受けても、酒、味噌、醤油、酢など日本独自の発酵調味料が発達していったのは、バラ糀菌のおかげといえるでしょう。
糀は、アジアの、さらに日本オリジナルの大切な食文化なんですね。
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